メジャーリーグのヒューストン・アストロズが2017〜2018年にイカサマな「サイン盗み」をしていた事がわかり,選手が謝罪会見をしました.
球界に残る汚点でもあるサイン盗みが証明され,その方法も知られることとなり、メジャーリーグは揺れています.
この記事では、アストロズのサイン盗みの実態とその方法についてお伝えします。
アストロズのイカサマ・サイン盗みの方法は?
概要
メジャーリーグ機構の調査でイカサマな「サイン盗み」を証明されたヒューストン・アストロズが球団のキャンプ施設で謝罪会見を行いました.
報道はこう伝えています.
会見にはジム・クレイン球団オーナー、ダスティ・ベイカー新監督のほか、17年MVPのホセ・アルトゥーベ、アレックス・ブレグマン両内野手が同席。大リーグ公式サイトなどで動画がライブ配信される中、アルトゥーベは「2017年の出来事をアストロズの組織、そして、チーム全体が心苦しく思っていることをお伝えしたい。私たちはファンや球界に及ぼした影響を後悔しています」と選手を代表して謝罪。ブレグマンも「チーム、組織、私個人が取った行動を本当に申し訳なく思っています」などと話した。
Yahooニュースより引用
ひとつの情報として上がっていたサイン盗みの方法として,「ユニホームの下に球種を伝えるブザーをつけていた」に関しては,球団側が否定しています.
真剣勝負の中にあって,「サイン盗み」によって実力とは違う結果が出るのは,完全に野球ファンを無視した行動ですね.
会見したホセ・アルトゥーベ選手
アストロズのイカサマ・サイン盗みの方法は?
2017年
アストロズの本拠地のミニッツ・メイド・パークのセンターフィールドにカメラを設置.
映像はアストロズのダッグアウト横のトンネル内に設置されたモニタに送信、分析班がサインを解読していたようです.
アストロズの関係者は,この情報を入手することができ,選手側にはゴミバケツの叩き方を変えて球種を教えていたとのことです.
当時アストロズに在籍していた,マイク・フィアーズ投手が,翌2018年にFAでデトロイト・タイガースに移籍した際に,チーム内に警告したと証言しています.
2019年
優勝決定シリーズでも,「球種を伝える笛が聞こえた」など,対戦相手のチームから告発があったり,この段階ではかなり黒に近い証言が出ていました.
アストロズの一連のサイン盗みは,「電子機器を使用した」とされていますが,実はメジャーリーグでは,2001年にサインを盗むため電子機器を使うことを禁止されています.
となると,アストロズが行った「サイン盗み」はかなりの重罪ということになります.
※前出のように「ユニフォームの下にブザーを仕込ませていた」という疑惑は、球団が否定しています.
アストロズのイカサマ・サイン盗みで成績はどう変わったか
アメリカのスポーツメディア「ジ・アスレチック」はサイン盗みを行った2017年シーズンの打撃を徹底検証しました.
前年2016年と比較して三振数が激減したことに加え,強打率が向上したことを伝えています.
サインが選手側に伝われば,当然この結果になりますよね.
「ジ・アスレチック」はこう伝えています.
「三振率が過去100年間に前例のないレベルで減った。ホームでの三振率はさらに劇的だった。過去100年では決してみられなかった」
「我々はあの時(17年)を振り返ってみる。彼らがあんなに強かったのは本物なのか? 彼らはどの程度、サインを盗むこととゴミ箱音によって恩恵を受けていたのか?」
The Athletic より引用(訳文)
さらに「ジ・アスレチック」はこう指摘しています.
「2016年は野球の歴史上、最も三振の多いチームの中の1つだったが、2017年には最も三振が少ないチームに突如、変わった。2017年シーズン、他の29チーム合計で前年より1500近く三振が増えた。にも関わらずアストロズの三振数は異常に減った。歴代でも類を見ないといっていい」
The Athletic より引用(訳文)
アストロズは2016年にチームで1452三振.
両リーグで4番目に多く,MLB史上8番目に多い数字でした.
しかし2017年は一気に365も減らして計1087三振で,両リーグを通じて最少でした.
「ジ・アスレチック」の主張はほぼ間違っていないようですね.
アストロズのイカサマ・サイン盗みの発覚による処分
サイン盗みの発覚により,アストロズには以下の処分が下されました.
・アストロズはMLB機構より500万ドルの罰金を科せられた
・ルーノウGM,ヒンチ監督は2020年シーズンの職務停止(GM,監督ともに解任)
・2020年ー2021年のドラフト一巡目と二巡目の指名権をはく奪
・2017年アストロズのベンチコーチだった,レッドソックス監督のコーラが解任
・サイン盗みに関与したとされるベルトランは,2020年からのメッツ監督就任が取止め
やってしまったことの重大さがわかる処分ですね…
アストロズの他にも!野球のサイン盗みの歴史:日本プロ野球の場合
1960年以降
日本のプロ野球では,1960年代あたりから「サイン盗み」が増えてきたと言われています.
当時は非常に原始的な方法で,バックスクリーン付近から双眼鏡でキャッチャーのサインを覗き,それを手信号や旗を振ってベンチに伝達していたようです.
ベンチから選手には掛け声(カーブなら「行け行け!」など)や,送受信機を用いて「電波を送る」ことで伝達していたと言われます
1998年
オフに突発したダイエー(現ソフトバンク)のスパイ行為疑惑が,その後の野球界に大きな変革をもたらすことになります.
1997年5月ごろから1998年6月まで,本拠地福岡ドームでの試合において,ダイエー球団職員が球場内モニターを見て相手バッテリーのサインを解読.
無線機で外野席のアルバイト学生に球種を伝え,学生がメガホンを立てるなどして打席の選手に合図を送っていたというものです.
サイン盗み禁止
1990年,当時の川島コミッショナーが「試合中、外部からベンチへの情報伝達の禁止」など6項目を12球団に通達しました.
翌日にはパ・リーグは監督会議を開いて,フェアプレーの徹底を宣言しています.
サイン盗み・スパイ行為はもちろんの事,二塁走者やコーチによるサイン盗みも禁止しました。
その後は,セ・リーグや高野連,全日本大学野球連盟,社会人野球を統括する日本野球連盟も罰則規定を設けて禁止事項としました.
アストロズのイカサマ・サイン盗みで謝罪についての世間の反応
■そのシーズンの成績は、公式記録から削除すべきだし、MVPなどの表彰、タイトルも全て無効とすべき。サイン盗みしての打撃成績など評価に値しない。
■アストロズや選手への処罰だけでは、済まされない。
彼らに打たれてマイナーへ落ちた選手、プレーオフを逃したチームなどなど、多くの人生を傷つけている。疑いのある期間の報酬をすべて回収し、被害へ補填すべきだ。
なぜなら、プロはお金だから。
■いや、もうブレグマンとアルトゥーベは応援できんよ。
インチキで打ったのに、被害者投手の前での勝ち誇ったアクション。あれには失望と不快感しかない。
プロとして、球界もファンも欺いた。
彼らには野球を続ける権利さえないとさえ思ってる。■サイン盗みをされた側が打たれて解雇になった投手もいる
ダルビッシュも打たれた後にFAとなり少なからず契約に影響があった
自分たちに良いようにでは無く、された側の人生が狂うという事を考えて欲しい
ベルトランは永久追放で良いかと■アルトゥーベ、小さな体で見事な打撃に、日本人体型でも言い訳できないと思っていたのに、まさかのサイン盗みによる打撃成績とは。失望感がすごい。せっかくMLB人気が復活しつつあるのに情けない事だ。このままうやむやにするようでは、ドーピングホームラン王が続々と明るみになって以来のしらけ感満載だ。スポーツ界のいかさまは本当にやめてほしい。
Yahooニュースより引用
当然のコメントですね.
野球はスポーツですから,実力vs実力が面白いのであって,それが感動を生みます.
処罰がどの程度になるのか?「追放」などの意見もあるようです.
【まとめ】アストロズのイカサマ・サイン盗みの方法は?不正発覚に選手は大きな後悔
今回の謝罪会見ですが,アストロズのジム・クレイン球団オーナーの発言も誠意が感じられません.
サイン盗みは2017年のワールドシリーズ制覇に影響しなかった.
呆れてしまいます.
ファンを裏切る行為ですね.
ファンはお金を払って球場に行って応援しています.
グッズを買ったりするのもしかり.
また,そこに関与していない選手たちも気の毒です.
プロとしてスポーツマンの集団として,心改めてほしいですね.
最後までお読みいただきまして,ありがとうございました.
コメント